(気づいたら、農業したかった)
私は大学院修了後、公務員、ホテル、ワーキングホリデー、飲食店、住宅営業などいくつかの業種と様々な土地で住んできました。
接客業をメインに仕事をしてきた自分にとって、 作り手は憧れでした。木を植え、木を伐る林業屋さん、野菜を生産する農家さん、料理を創り出す料理人、家を建てる大工さんなど。
ホテルや店舗での接客、住宅営業などは作り手と買い手の繋ぎ役です。繋ぎ役も非常に大切なポジションですが、自分の思いや努力の成果を生産物にのせる、自分もそういう姿を目指したいと感じました。
そんな折に微生物を活用して家庭菜園をしている人に出会ったり、「あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れ始めた/ アランナ・コリン著」という本を読んだりして、農薬の危険性や微生物の重要性に気づき、農薬を使わない農家になろうと決めました。
(若葉農園との出会い)
いざ農家を目指すといっても実家は農家ではなく、また地元でもない徳島での挑戦。
技術なし、土地なし、機械なし、お金なし、何もないところからのスタートです。
徳島県農業会議に就農相談にいったり、農業大学校のオープンキャンパスに行ったりして、情報を集めました。お金を稼ぎながらでなければ経済的にやっていくのが難しかったため、農業法人に勤めてノウハウを学んでいこうと考えました。
インターネットで「徳島」「農業」「無農薬」というワードで検索し、トップに出てきたのが若葉農園でした。当時、とりあえず無農薬で作りたいという思いしかなく、農法にもいろいろあるということが分かっていなかったため、自然農法という言葉はここで初めて知りました。
会社情報や研修生の体験談を見て、すぐさまにメールしたのを覚えています。一度作業体験をしにいき、その後お世話になること
を決めました。
(若葉農園での研修生活)
研修を始めて最初に思ったことが、「データ取りがすごい!」です。私がもともと持っていた農家さんのイメージは、どんぶり勘定かつフィーリングで仕事。しかし、若葉農園は違いました。
毎朝のミーティングにおいて進める作業の共有、作業ごとの時間計測や結果の記録、野菜の細かな計量など、計画的なデータ管理をしていました。ここまでやるのかと思いつつも、それらのデータは振り返りや改善、将来の予測に役立つもので、経営をしていくうえでとても重要なものです。さらに作業も体系化されていて、初めて農業をする人にとっても行動しやすくなっていました。
そして研修を始めて少し時間が経ってくると、肥料を全くやっていなくても元気な野菜が育っている事実を目の当たりにします。冗談半分で、社長に「夜な夜な肥料をまきに行っているんじゃないですか?」と聞いたことがあります。もちろん笑顔で否定されましたが、疑ってしまうくらい立派な野菜が育っていたのです。
これは自分にとって、とても大切な経験でした。なぜなら自然農法でも野菜ができるという事実が頭に刷り込まれたからです。慣行農法をやられている方に無肥料・無農薬で野菜を作ってみてと言ってみても、「無理だ」と突っぱねられると思います。それは彼らにとっては肥料、農薬を使わないと野菜ができないと刷り込まれているからだと考えています。このような認識の違いが、たとえ同じ方法で野菜づくりをしても野菜の出来が大きく変わることに影響するのだと思います。
若葉農園では外作業はもちろんのこと、段取りを組むリーダーポジション、販売と出荷物管理の事務作業などもやらせてもらえます。つまりやる気によって、独立に必要な要素を十分に学べる環境です。私も研修中に大型特殊(トラクター用)の免許を取らせていただき、実務を通してトラクター運転を習得することができました。
(2024年に農家として独立しました!)
2年と少しの研修期間を終え、若葉農園で学んだ技術をもとに徳島県板野町にて農薬・肥料不使用の野菜づくり農家になりました。
独立して感じたことは、「若葉農園、すげー」です(笑)
上記のデータ管理や誰でも取りかかれる作業などは、これまで何十年もかけて社長の横田さんを始めとした諸先輩方が試行錯誤を繰り返して、導き出したもの
です。誰かに体系的に教わった、教科書があった訳ではありません。
恥ずかしながら研修中はそのことに気づくことができませんでした。自分で農業を始めてみてその偉業さをひしひしと感じています。
そんな若葉農園にて培われた技術のおかげで、私も曲がりなりにも野菜ができています。売り先の確保などまだまだ課題は多いですが、若葉農園のように私も試行錯誤を繰り返して、地域と自分にあった野菜づくりをできるようにがんばっていきます。
「自然農法でできる野菜とはどんなものだろう」という小さな興味をお持ちの方から、「農家として独立したい」という意思の強い方まで、若葉農園は学べることが多い場所です。他の体験談の方も書かれているように会社の雰囲気はアットホームなので、ぜひ気軽に問い合わせてみて下さい。